『君の名は。』の小説(加納版)がスニーカー文庫から出ます
新海誠監督の映画最新作『君の名は』が、8月26日に劇場公開されます。
この『君の名は。』の小説版が、加納新太の執筆で、角川スニーカー文庫から8月1日に発売されます。税込み670円です。
君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
カバーイラストはキャラクターデザイナーの田中将賀さん(『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』)。口絵および挿絵は朝日川日和 さんにお願いしております。
じつは私(加納)は、今回の映画『君の名は。』では、制作スタッフの一員を務めています。スタッフロールでは(確か)「脚本協力」ということでクレジットされていて、一行まるまるを私ひとりの名前で占拠しています(光栄なことです)。
何をやったかというのは、肩書きの通りで、脚本を成立させる過程で、さまざまな意見を申上げたり、助言をさしあげたりということをしました。病欠を除いて、脚本会議にはすべて出席しましたし、全6稿までおよんだ脚本のなかには、加納が執筆したバージョンも存在しています。
そんなわけで、この映画の(ストーリーの)成立過程をほぼ全部目にしていますので、「この映画について最も詳しい人々のうちの一人」だったりするのでした。そういったわけで、サイドストーリーの小説を執筆する話が舞いこんできました。
新海ファンの方はすでにごぞんじかと思いますが、現在すでに、角川文庫から新海監督の執筆によるノベライズが先行発売されています。そちらは、映画のストーリーをほぼ忠実にトレースした内容になっています。
(ちなみに新海さんは、映画をつくりながら同時進行でその小説を書き上げました。常人にできることではありません)
そちらが先行しておりますので、スニーカー文庫版では、ストーリーの重複を避け、登場人物の掘り下げをする短編集にしました。
誰を取り上げるかなぁ、ということを、担当さんとああでもないこうでもないと議論していった結果、(ほぼ)偶然にも、全員が糸守町関係者となったので、結果的に「地方暮らしもの小説」のような様相を呈することになりました。
(この映画は、東京都内と、岐阜県の山奥にある糸守町という架空の町を行ったり来たりするような内容です)
この映画の脚本に関わっているときに、アニメっぽい裏設定や、アニメっぽいコントをいっぱい提案したり(勝手に付け加えたり)しました。そういうネタは全体を調整する過程で、ストーリーの表面からは落ちていったのですが、今回の小説では、捨てるには惜しいものを復活させています。
復活させてもOKかな、作品のトーンがずれないかな、とかすかに心配したのですが、新海監督にプロットを見せたところ、すんなりOKが出たので、まあ、たぶん大丈夫なのだと思います。
そういう裏設定を積極的にしこんでいった結果、今回の小説は、「主人公は糸守町」といえるような内容になりました。
この小説で、さまざまな真相が解明されます。例えば、勅使河原はどうして「とある計画」に協力してくれるのか。三葉の父は、どうしてああなのか。そして、宮水神社が持っている秘密は何なのか。そういった「糸守町の謎」を明らかにするような小説に(結果的に)なっています。
映画にあわせて、この小説を併読すると、「ああ、これってそういうことなのか」と腑に落ちる部分が多くなるはずです(そういう効果を目指して書いています)。映画を見て気に入った方、これから見る予定の方は、副読本として読んでいただけたら幸いです。
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コメント
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面白かったです
投稿: | 2016年9月 1日 (木) 01時07分