著者見本が来た・合宿話続き
「シャイニング・ウィンド―アナザーリンク― 鬼封じの剣士」の著者用見本が来ました。ということは、早売り書店ではもう売っているのでしょうか。正式な発売日は30日なので、Amazonなどで注文されているかたのお手元に届くのは1日以降かもしれません(予約注文ありがとうございます)。
イラストレーターの碧風羽さんには、先に発売した「シャイニング・ティアーズ to ウィンド 姫君たちの冒険」でも挿絵を担当していただきましたが、今回も引き続きお願いしました。写真のソウマが非常に格好良いです。別の機会にでも、今度はカラーの絵を戴きたいなあ……。
「シャイニング・ウィンド―アナザーリンク― 鬼封じの剣士」
(6月30日発売/エンターブレイン/ファミ通文庫/税込672円)
「シャイニング・ティアーズ to ウィンド 姫君たちの冒険」
(発売中/エンターブレイン/ファミ通文庫/税込672円)
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この本を書くために、初めて「缶詰」になった話の続き(前回)。
週刊ファミ通を出していることで有名な株式会社エンターブレインは千代田区三番町にあります。千代田区三番町といえばこの分野の書き手として思い出すのは丘の家のミッキー=三番町のミシェールだったりするわけですけれど、このビルの窓から見える景色といえば目の前にお堀、遠くに国会議事堂、そして隣はさる宮家のご邸宅という環境で、うーん浅葉未来はこういう環境で育ったのであるか、としみじみ納得したりしました。都内に十年は住んでいるのにいまだに土地感覚がありません。
この会社のビルには、仮眠室がしっかり完備されてて、シャワーボックスもあり、社員食堂はやたら安いし軽食の自販機は二十四時間営業です。地下には洗濯機までありました。乾燥機はなかったのでさすがに定期的に帰宅する必要がありますが、もしそれまで完備されていたら、ちょっといろいろ恐いですね。一ヶ月くらい平気で泊り込む人とか出そうな環境です。
そういう環境ですので、人間をひとり、仕事が終わるまで外に出られなくすることくらいワケないわけです。おそろしいおそろしい。
基本的に、小さな会議室を一室占領してそこでひたすら原稿を書き、脳みそがしびれて言語機能が発揮できなくなったら仮眠室にもぐりこむ、という生活をしていました。生活に必要な設備がビル内にほぼ全部揃っているので、ほとんど外に出る必要がありません。
ある日、自分を取り囲む無機質な灰色の壁を見ていてハタと気づいたのですが、おそらく遠未来の、スペースコロニーとか、長距離宇宙船というのは、こういう環境ではあるまいかと。
だとしたら、案外ぼくは宇宙船乗りに向いてるかもしれません。というのも、生活空間としては、わりと快適だったからです。起き出したらすぐ仕事ができるし。
顔も知らない人たちが、てんでばらばら勝手に仕事をしている、その中で特に人間関係を構築するでもなく、幽霊みたいに社内をふらふらしていてよいという境遇も、なんか案外気持ちが良かったです。都市的ですよね。
締め切り仕事がきつかったのですが、それ以外の部分では居心地が良いといってもよかったのです。寝る→起きる→飯食う→仕事する→寝るというノイズなしの超シンプルなサイクルが発生し、そのサイクロンに自ら巻き込まれていく感覚が、おもしろい。
たぶん社員のみなさんもそうなのでしょう、朝方近くになると、十四床ある仮眠ベッドはいつも満員に近くなっていました。つまり相当数の人が日常的に泊り込んでいるわけです。えっと、労働者的には何かの罠だと思うんですが。
(続く)